事件について思う事(H21.11.19)


※これは完全に個人的感想です。「正しい」というものではありません。
また、私は「新田先生信者」な人間ではありません。
あくまで客観的に冷静に考えようと努力して考えてみました。
私と違う意見を否定するものではありません。


約一年程前に起こった新田先生の「トレス疑惑」事件について、私なりに思うところを
語ってみようと思います。
事件が起こった当初は、えらい騒ぎだったのでしょうね。
私は全然知らなかったので(遅い…;)気付いた時は騒ぎが終息に向かっていたようで、
渦中にはいませんでした。どんな議論が交わされたのか、まったく知らず。
私が知っているのは
『新田先生の描いているイラストは、実際の雑誌の写真などをトレスしたものがたくさ
んある。これは著作権の侵害ではないか?
という問題になったので、出版社が「自主的」に新田先生が描いた書籍などを回収・廃
盤にした。連載も中止となり、謹慎的処分になった』

という感じです。
私の個人的な感想としては、これは相当厳しい処分だと思う。
新田先生自身が「障害事件」を起こしたり、「加害者」になった訳でもないのに。
「トレス疑惑」を含め、問題になった書籍は他にも数多くあります。
しかし、ここまでの厳しい処分はあまり聞いた事がありません。
大抵は説明して出版社と著者が謝罪して、問題の箇所を訂正して終わり、です。
または、しらをきってほっとくか;
今回の場合は「トレス疑惑」のあるイラストが多い、などの理由もあると思いますが、リ
ブレ出版が「小出版社」。書籍ジャンルが「BL」なのが大きいと思います。
●問題の部分を「訂正したものを再発行」する力量が出版社にない(前社となるビブロス
は倒産してるし;)
●再発行したとしても「元手がとれる程売れるか」どうかも定かではない。(問題視される
イラストが多すぎる)
●世間的に広く受け入れられるジャンルではないので、問題にされやすい(叩かれやすい)
から、早いとこ騒ぎを終わらせたい。

以上の理由から、厳しい徹底した処置になったのではないでしょうか?
過去に「差別的発言のある」書籍が回収・廃盤した例を知っていますが、その時も「小出
版社」からの発行でした。「これって差別になるの?」程度のものだったのに(物語は「見
掛けで人を判断してはいけない」って内容だった)
大手出版社からの発行であるか、超人気のある著者だった場合は
「説明→謝罪→回収→修正して再発行」
なのだと思います。
ここで大きく左右するのは「発行部数」なのでしょうね…;
痛い現実;世知辛〜い;
『出る釘は打たれる』ので引っ込んでおくのが懸命
『訴えられたりする前に、出来る事はやっておく』

リブレ出版はそう判断したと推測します。
これは、正しい処置、だと思います。
世間というのは、反抗すればする程、叩くんですよね。
引いた方が必要以上に叩けない。潔い態度は賢いやり方。
が、一部で納得出来ない部分もあります。
今回の厳しい処分は、出版社を守る為に必要だった、とは思います。
しかし、一方で
「とかげのしっぽ切り」
のように作家を扱うのなら、それはおかしいのではないか、と思うのです。
私は今回の事は周囲にも問題があるのでは?
と疑問なのです。
新田先生がトレスしていたのなら、何人かは知っていたでしょう。
その中で誰も「大丈夫かな?」と思わなかったのでしょうか?
思った人はいると思うんです。
でも言わなかったのか?
忠告しても新田先生自身が聞かなかったのか?

そこら辺はまったく分りません。
新田先生はリブレ出版と契約している作家さんの中では「超売れっ子」だったと思います。
いわゆる看板漫画家で、かせぎ頭。
もし、リブレ出版社が
「売れっ子作家を持ち上げて媚びを売って、何かあった時は責任を全部押し付ける」
会社であったなら、あまりにも無責任だと思います。
『説明→謝罪→回収』にあたって、多大な損害を被ったでしょう。
が、それは会社側の「管理不十分」からくる部分もあったのなら、払うべき義務のあるも
のです。
雇った社員が全員「ミスをしない会社」なんて、ある筈がないのですから。
だから、早い段階で「間違いに気付く」システムを構築する事が大事なのです。
管理側にその意識を持つ事が大切なのです。
それが、会社側の「責任」ってやつです。
(もっとも、「売れっ子作家」には甘い処分で「売れてないっ子」には厳しい処分をする
よりは誠実な対応だと思います)
かといって、新田先生にまるっきり責任がない、とは思っていません。
はっきり言えば
基本的には新田先生が悪かった
と思っています。
(「新田先生はまったく悪く無い」という意見は私的には納得出来ません。
もちろん個人がそういう考えをもつのは自由です。一番初めに言ったように、違う意見を
否定する気はありません)
私の個人的予測ですが、新田先生自身は「著作権を侵害している」という意識はなかった
のだと思います(だから、やってもいい、って意味ではありません)
新田先生の描く物語には、実際にある店や場所が登場してくる事があります。
そんな時は実物の写真を元に描いているようですが、これと同じ感覚だったのではないか、
と考えています。ようするに「リアリティの追求」の一環だったのではないか、と(だか
ら、やってもいい、って意味ではありません)
たくさんのトレス疑惑のあるイラストがあるのがその証拠。「意識」があったらこんなに
やってないでしょう;
人間は完璧ではないのだから、間違いを犯したり、気付かない事だってある。
「間違いを犯さない人間」なんている訳ない。
大切なのは間違いを犯した後。
自分の過ちを認め、謝罪し、反省する。二度と同じ過ちをくり返さないようにする。
のが大切だと思うのです。
私だって間違いを犯すし、悪い事したり、人を傷つけてしまう事もある。
それを指摘された時、自問自答します。
本当に私が悪いのか?では、何が悪いのか?私の言いたい事はなんなのか?
その時に気付くのは
「間違いを認めない」より「認める」方が遥かに勇気が必要
という事です。
(それを理解出来る社会的基盤が日本は幼稚だとよく感じる)
もう一つ大切なのは
間違いを犯した原因を無くす事
もし、今回の事件は「意識の低さ」が原因なのなら、ちゃんと高い意識をもつ事や、注意
する人を周りにおく、そういった点を管理するシステムを作る、などが大切です。
新田先生が「注意しても聞かなかった」人なら、新田先生自身が変わらなければなりませ
ん。
私個人の考えとしては
「間違いは誰にでもある。それを認めて反省するのであれば、やり直す事は当然の権利」
です。
一部が間違っているからといって、全てを否定するのは乱暴ではないでしょうか。
だから「やり直す」機会を奪う事は反対だし、逆に改善も反省もしないのなら「やり直す」
意味がないと思う。

今のところ、そこら辺が不透明なんですよね。
現段階では、会社側と新田先生の対応で、不誠実だと感じる部分はありません。
分らないのは
「どういう考えがあって、この対応方法をとっているのか」
という点。
会社側も新田先生も謝罪はありますが、事件についての「受け取り方」は不明です。
新田先生はどう考えているのか?反省しているのか?今後はどうしたいと考えているのか?
もし新田先生が
「もっとマイナーな誰も知らない写真からトレスすべきだった」
なんて思っていたら「そうじゃないだろ〜!;」と突っ込むところですし「やり直す」意味が
ないと思うのです。
会社側にしても同じです。
きちんと「会社側の悪かった部分」を改善してくれるのか? 会社側の対応は、どうでるのか?
う〜ん…分らない…
それは今後の動きで計るしかありません。
今後の言動を見守りたい、と思っています。