「男塾」のダーク部分について


さて、原作「男塾」はいろいろと問題のある漫画でございます。
如実に軍国主義の表現があったり、もろに男尊女卑だったり、「力こそ正義」な困ったちゃん思考が崇高な扱いされていたり。そこらへんの問題点はオリジナル茶屋の雑記に書いてますんで、ご興味のある方はどうぞ(ただし、かなり真剣に批判してますので、そういうのが読みたくない方はお止め下さい)
ちょっと違った視点から、「男塾」のダーク部分について考えてみましょう。
まず「男塾」で一番問題になるのは「命を粗末にするところ」だと思う。少年漫画にはありがちかもしんないけど、はっきり言ってこれは非常によろしくない;
では、「男塾」では誰が一番殺人を犯しているのでしょうか?
統計した方がいらしたので、その方の資料をみると
■殺人数
1位.赤石 9人
1位.飛燕 9人
3位.桃  7人
4位.富樫 5人
5位.伊達 4人
5位.卍丸 4人
7位.虎丸 3人
7位.影慶 3人
(後日、生き返った人も含む。対戦相手だけでなく、傍役・切られ役の方々等も含む。回想は入れず)
■バトル数
1位.桃  24回
2位.J   13回
3位.伊達 12回
4位.明石 11回
4位.富樫 11回
6位.飛燕 10回
7位.虎丸 9回

どは!剣豪というイメージは伊達臣人じゃなかった伊達じゃない;殺人数トップは赤石先輩;
しかも、過去の一号生惨殺事件(アニメでは上級生)の犠牲者は含まれておりません;先輩のバトル数はそんなに多くなくて11回。
という事は対戦相手の死亡率が高いって事ね;容赦ね〜な〜;
でも、あえて擁護させてもらうと、赤石先輩の対戦相手は外道である事が多いんだよね;(だから殺していいのか、って言われると困るんだが…;)
「生か死しかない」
とする赤石先輩の厳しい生き方が数字に反映された形ですのう。
意外なのは飛燕と桃か?
飛燕が赤石先輩と並んで堂々の1位とは;
「怒らせたら怖い」ってそういう意味?卒業後は医者になったくせに;
桃は「命まで取らない」というイメージあったんだけど、結構殺してますな;
まあ、自爆したアヌビスとか復活した邪鬼様とかも含まれているからね。藤堂兵衛もその後、復活しとるし、後日の生存確認を引けばもっと低いでしょう。(1位のご両人は殺した相手が復活する率は低かっただろうと思われます;)
主人公だからバトル数も一番多いし「悪人を成敗する」という演出を求められるからかな?
個人的な意見としては主人公だからこそ、誰も殺してないって設定にして欲しかった気がする。
そうならないところが「男塾」が「命を粗末にする非常によろしくない漫画」であるゆえんだと思うけど;
伊達が案外少ない。やっぱ「本当は優しい」からでしょうか。
ガンダーラ戦で「一山いくら」で一気にやっつけた時も、気絶させているけど殺してないんだよね。竜宝も火傷負わせただけで殺してない。やっぱり伊達臣人は優しかったという事が、この数字で証明されましたv
バトル数が高い割に殺人数が低かったのはJ。
殺した相手も2人で雷電と卍丸なので、その後復活しとります。
さすがスポーツマンシップの男。これこそ大和男子の鏡だよね(アメリカ人だけど;)
では次に「殺人率」をみてみましょう。倒した人数=(イコール)殺した数とは限らない。倒したけど、命を奪うかどうか、という確率をはじきだしてみました。
■殺人率
1位.卍丸 100%
2位.飛燕 77%
3位.赤石 69%
4位.富樫 55%
5位.虎丸 50%
6位.伊達 22%
7位.桃  17%
8位.J   5%

うわあ〜意外な人物が1位に!卍丸、あんた100%かよ!もしかして、この殺人率をかわれて「天より〜」で伊達に雇われてたのかい?そうなの?;
飛燕でさえ77%なのに;飛燕は怒らせないと命までとらなかったのか?確率では赤石先輩は飛燕より下ですな。まあ、7割近いですが;
富樫と虎丸が結構高いのには驚きました。
戦闘力が高くない分、命がけのバトルになってしまうからでしょうか?特に富樫は心中(道連れ)が多い気がする。余談ですが美しい男に惚れられる確率も高いと思う。飛燕とかセンクウ先輩とかミッチェルとか;
桃、J、伊達はやっぱり低いね。
3人ともバトル回数はトップ3なのに、ここではアンダー3。(殺人数、バトル数に載ってないんではぶきましたが邪鬼様は多く見積もっても18%)
桃とJは復活した人を除いたら、もっと低い数字でしょう。特にJは0%かな。
戦いにおいて、攻撃される方が一番怖い攻撃方法は「特攻」だそうです。
自分の命を捨てているから、相手の命も奪う事に未練も躊躇いもない。「特攻」をかける奴は戦闘力が弱い事が多い。それ以外の戦い方が出来ないし、知らないから。
やっぱり本当に正しく強い奴程「優しくなれる」んだと思うのだよ。
マハトマ・ガンジーの言葉
「弱い人程許す事が出来ない。許す事が出来るのは強さの証明だ」
かなり個人的な意見ですが、この信念で描いた「男塾」が読みたかった。
「戦う理由」をもっとまっとうなものにして欲しかった。塾長(または戦死した先輩)の恨みをはらす為に藤堂を殺すなんて、これじゃ桃達がただの暗殺者じゃん;
大体、戦争がなければ藤堂も仲間を裏切ったりはしなかったわけですから、本当に憎むべきは日本を戦争に導いた当時の政治家達でしょう〜鉾先を間違えてるぜ!
「男が勝負に命を賭けたのだ。男子の本懐これに勝るものなし」
塾長!てめ〜それが戦場で友を失った男の言う台詞か!ごらあ〜!
ここが「男塾」を読むうえで一番ひっかかる部分なんですよね。この部分の設定がもっとしっかりしていたら、もっとカッコ良く素晴らしい話になっていたと思う。登場人物がみんな魅力的で素敵なだけに口惜しい〜;
「暁!」はこの辺はかなりましになっているみたいで、ちょっと「ほっ」としております。