初めての…


伊達の手が触れると、桃は体温が急速に上がっていくのを感じた。
夜具の上に押し倒され、優しく口付けされると、頭の中まで熱くなってぼんやりして
くる。
伊達と桃が恋人関係になって、初めて肌を重ねたのが一月ほど前である。
片手に余るぐらいしか夜を供にしていないが、この夜の桃はいつもと違う感覚がして
戸惑っていた。
『な、なんだろう…?』
身体が熱くなるのが早い気がする。鼓動がいつもより高鳴っている。
何よりもう濡れてくる感触を覚えて、桃は恥ずかしくなった。
「どうした…?」
伊達が桃の瞳に狼狽の色を感じて声をかけた。
「…なんでも…ない…」
知られたくなくて、桃は強請るように伊達の首に手をまわした。
初めて伊達と身体を繋いだ時は、熱くて…恥ずかしくて…自分があんな風になるのに
驚いて…
大きな渦に飲まれる気がして……
でも、幸せで……
身も心も愛されるのが、こんなにも甘美で幸せな事なんだと伊達が教えてくれたので
ある。
その時から、桃は伊達と一緒にいる事が、彼を想っている事が幸せでたまらなかった。
夜を供にするのも同じ幸せの延長だと感じていた。
「あ…!」
伊達の愛撫に桃は飛び上がった。
こんな風に触れられるのは何度もあったのに…
どうして、こんなに激しく反応してしまうのだろう?
「…だ、伊達……」
不安になった桃は伊達の肩をきつく掴んだ。
「…なんか…変だ…」
「何が…?」
「……………」
感じすぎて怖い、なんて言えない…
「…分からない…けど…」
桃の瞳は戸惑いの色があったが、欲情して潤んでもいる。
伊達は構わず、すでに密をこぼしている桃のそこへの愛撫を続けた。
その度に、桃の身体は跳ねて、感じているのが伊達にも伝わってくる。
指を入れると、たちまちきつく締め付けながらも奥へと誘うように蠢きだす。
いつもなら指を入れると、一瞬だけ強張って拒絶する動きをみせていたのに。
「…う…ん……」
桃は恍惚の表情を浮かべ、指から快楽をむさぼろうとしている。
内が熱く濡れ、腰を揺らしはじめていた。これまで桃は無意識に足を閉じようとする
動きあって、伊達が手で押さえていた。が、今、桃は伊達の指淫を受ける為に自ら足
を開いている。
敏感だけれど、どこか青い果実のようだった桃の身体が、熟れて甘い芳香を発してき
たのだ。
自分の身体の変化を、桃はまだ自覚していない。
暴走しそうになる感覚を持て余して不安になっているらしい。
…やばいな…
ただでさえ男泣かせの身体だってのに…これ以上良くなったら…
……俺がもつかな……?
などと思う伊達であるが、雄としての本能が昂るのは仕方ない。
熟れた桃はとことんまで味わいつくさねば気がすまない。
伊達はゆっくりと桃の中にはいっていった。
「…あ……!」
歓喜と共に伊達の熱さを受け入れる。
頭の奥で何かが弾けて、桃は伊達にしがみついた。
はいる時は必ず無意識に身体をずり上げようとしていたのに、今夜はその動きさえも
ない。
蜜に爛れた息使いのごとく、柔らかく甘いうねりで包みこんでいる。
伊達は時間をかけて奥へと進んでいく。熱い蜜にからまり、桃の喘ぎ声が耳に響くと
頭の芯まで眩んでしまう。
「あ…あ…伊達…」
しがみつきながら、桃の腰の震えは伊達の進んでいく動きに合わせている。
最奥にたどりついて突き上げながら、伊達は悦楽を感じている桃の顔を見つめた。
「…あ…ふ……」
甘い吐息をもらす桃の口元が色っぽくて、伊達は指を中に挿し込んだ。
「く…うん……」
伊達の指を吸って桃は素直に快楽に酔った。突き上げられながら、伊達の指が舌に、
歯に触れると、とろけそうになる。
でも、指ではないものが欲しい……
「…伊達……」
一目で桃が何を欲しているか分かった伊達は、指を抜いて口付けを落とした。
「…う…ん……」
お互いの舌を探り合わせ、密が交わる。
濡れた音は下肢からだけでなく、唇からも聞こえてきて、その音にさえ桃は反応した。
「…伊達…う…ん……」
もっと欲しい……
熱く濡れる身体を感じて、桃は伊達がもっと欲しくなる。
…もっと奥まで満たして欲しい……
いつのまに、自分はこんな淫らな身体になってしまったのだろう?
少し恥ずかしくなるが、快楽に浸りたい気持ちが勝ってしまう。
伊達を求めて身体を揺らした桃は、ふわりと反転し、気づくと伊達の上に乗っていた。
『…え……?』
どうなったか分からず、桃は一瞬呆然とする。
が、足の力を抜くと、身体が落ちて伊達を深く飲み込む。背筋を快感の電流が突き上げ
て、桃は身体をビクンと跳ね上げた。
「あ…!」
「………桃……動け……」
「…そ、そんな……」
こんな格好をするのは初めてで、どうすればいいのか分らない。
桃は伊達に縋る瞳で見下ろした。
「…お前が動かないと…イけねー……」
「…あ……」
どうすればいいのか分らないまま、桃は小さく腰を揺らし始めた。
「…う…あん……」
揺らす度に電流が走って、桃は背を逸らせて甘い悲鳴をあげた。
今まで知らなかった感じるところを突き上げられる。
中にいる伊達がビクビクと脈動しているのが分った。
受け入れている部分がぬるりと愛液を零れだして、身体の奥が疼いてくる。
自分がこんなにも感じるなんて信じられない。
「…い…!あ…い、いや……」
いやと言いながら、桃のそこは伊達を離そうとはしない。反対に強くからみつき、締
め付けてくる。
動きが激しくなって、自分の中で暴走している肉欲を、心が受け止めきれずに身悶えて
いるようだ。
快楽にこれほど溺れる桃の姿を見るのは初めてである。
伊達も堪えるのにかなりの労力を用いなければならなかった。
「……伊達……助け…て……」
深くなる感覚に耐え切れず、桃は濡れた声で助けを求める。
限界を悟った伊達は起き上がって桃を抱き締めた。
がくがくと震える身体で桃が抱きついてくる。
それでも、揺らす事は止めずに甘い苦しみを貪り続ける。
「…そんなに…いいのか?……桃……」
「……あ…あ……伊達…怖い……」
「……何が…恐いんだ……」
「…溺れ…る……」
「……いいじゃねーか……溺れろ…」
俺はとっくにお前に溺れてるぞ……
……初めて抱いた時から……
桃の中の熱さに達しそうになるのを必死に堪える。陶酔している桃は伊達の状態まで気
がまわらないようだ。
伊達は心の中で
…それがバレたら主導権握られそうだな……
そんな予感を覚えたが、二十年後に適中するのであった。




H21.10.10

…つまり…初めての●●位って事で…;(爆;)