まだ麻酔の影響が残る身体で、桃は弱々しく抵抗した。
しかし、それを諦めると口元と目蓋を堅く閉じ、横を向いて堪える仕種をし始める。
桃の様子に胸が痛くなるが、愛撫を知っている身体なのだと分かった事への妬心が滾っていた。
触れると、桃の身体は熱く反応する。
「…う……」
きつく結んだ唇から声が微かに漏れる。
うすうす感じていたとはいえ、桃の肌に残る別の男の影を忌々しく思う。
許せなくて愛撫が嗜虐めいたものになっていく。
苦しそうに桃は何度も首を振るが止められない。
「…やめてくれ…」
閉じた瞳から涙をこぼして桃は哀願するが、やはり聞けない。
桃を抱き締めて楔を打ち込む。
手の中の身体が跳ねるが、容赦なく押さえ込んで覆いかぶさる。
「…剣……」
「…あ…う……」
「…俺を見ろ…」
「…く……」
「…お前を犯している男の顔を見ろ……」
ハッとして桃は瞳を開いた。濡れた黒い瞳が自分を見上げている。
涙をこぼしていても澄んで美しい。
「…豪…毅……」
桃の唇が他の男の名前を呟く前に、豪毅は自分のそれで塞いだ。