岩城京介…人間の悪魔祓師。胸に『名も無きもの』の印を持つ為、下級悪魔
程度は手がだせない。
香藤洋二…元天使で『名も無きもの』。ルシファーの双児で彼に匹敵する力
を持っていたが、岩城を愛し、人間になる。
アスラン…人間の情報屋。悪魔に対しても天使に対しても中立を貫いている。
ニーソン牧師…岩城の恩師で故人。対悪魔用の武器を開発していた。
トマス神父…ニーソン牧師と対悪魔用の武器を開発していた神父。実はハーフ
ブリッドで今は天国に還っている。

要注意!
今回のお話はかなり残虐なシーンや描写を書く予定ですので、それらが苦手な
方は決して読まないで下さい;;

         名も無きもの ―ケルベロスの牙 2―

 またしてもケルベロスの犠牲者が出た事で、人々の不安はさらに大きく
なった。夜の住宅街からは人通りが途絶え、繁華街ではある程度のにぎわ
いがあったが、客の入が悪くなった為、閉める店も増えていた。
 香藤は例の悪魔崇拝者達のリストを持ってロス市警に足を運んだ。警官
で友人のジェフにリストに載っている人物達の住所と安否を確認してもら
おうと思ったのである。何故、この結社のメンバーがケルベロスに命を狙
われるのか、関連があるのか知りたかった。
 岩城の推論は、ケルベロスはこの秘密結社のメンバーに恨みをもつ者が
調教した狂犬ではないか、というものだった。岩城は人々を食い殺した犯
人は現実の凶暴な獣だと考えていた。
 地獄の魔物を召還するにはそれなりの能力が必要であるし、アスランの
話ではこのメンバーの中に能力を持った者などおらず、ただの虚勢の強い
狂信者達という事だった。しかし、社会的地位の高い者ばかりであるから、
何か個人的な恨みをかい、それを晴らそうとしている者が復讐しているので
はないか、というのが岩城の仮説だ。
「う〜ん、あのさ、岩城さん、あくまで仮説なんだけど、逆にその秘密結社
に力を貸した奴がいて、そいつがケルベロスのような凶暴な悪魔を呼出したっ
てのは考えられない?」
「召還したのなら、何故メンバーの命を狙うんだ?」
「呼出したのはいいけど能力が足りず、制御できなかったとか」
「……滅多にないが、なんらかの事故が起こって悪魔が解き放たれた、とい
うのはありえるかもな…(ニーソン牧師の時もそうだった)だが、その場合
はメンバーに限って狙う必要はないだろう」
「あ、そっか……じゃあさ…岩城さんと俺の説を組み合わせた場合はどうだ
ろう。この秘密結社に恨みを抱く人物が悪魔を召還したとか…非力な女性と
かだったら力で復讐できないから悪魔の力を借りる可能性もあるでしょ」
「確かに…召還に必要なのは憎悪や恨みといった邪悪な念であって、肉体の
力は関係ないからな…香藤は人々食い殺したのは悪魔だと思うのか?」
「う〜ん、そういう訳じゃないけど…」
「もしこの事件の犯人が悪魔だとすると、中級以上の魔物の仕業だと考えら
れる。1度きりならまだしも4度もとなると、完全に支配しなければならない
筈だ。だが、中級以上の悪魔を完全に制御できる能力の持ち主は滅多にいな
い」
「岩城さんぐらいの能力者なの?」
「俺程度では無理だ」
「え、そうなの?」
「それに、それ程の人物なら悪魔と契約しなくても、呪術という手があるぞ。
そっちは危険も少ないし確実だ」
「あ〜そっか〜…」
「とりあえず他のメンバーの生存の確認が先だ。遺体が見つかっていないだ
けで、すでに殺されている場合もありえるからな」
「うん、それはこっちにまかせて。ジェフに頼んでなんとか調べるよ。メン
バーの人数は12人、うち4人が死亡…か…」
「おそらく12人ではないと思う」
「どうして?」
「12は聖なる数字であるから、悪魔崇拝者らが避ける数字だ。多分、もう一人
いるだろう」
「じゃあ…13人目がいるって事?」
「司祭ではないかと思う……」
「それが誰かもつきとめなきゃね」
「くれぐれも内密にな。悪魔を信仰しているなど世間には秘密にしている筈だ
から、警察の名をだすと口を閉ざすだろう」
「うん、気をつけるよ。じゃあ、そのワンコロを病院に連れていく役目は頼ん
だよ」
「ああ、大丈夫だ」
 今朝拾った犬は岩城の腕の中で弱々しく鼻を鳴らしていた。動物を抱きあげ
るなど出来なかった岩城は自分を信頼して身を預けるこの犬が可愛いらしく、
優しそうに頭を撫でている。その姿を見て、ちょっぴりジェラシー心が沸く香
藤であった。

「ジェフ、久し振り」
 ロス市警の建物に入った途端、エントランスで仲間達と話しているジェフを
見つけた香藤は言葉を掛けた。
「香藤、お前何しに来た?」
「何しに来たって…愛想ないな〜」
「余他話ならつきあっている暇ないぞ。今朝またケルベロス事件の被害者と思
われる遺体が見つかって、警察内部はてんやわんやしてるんだからな」
「…そのようだね…」
 香藤がちらりと目を他に向けると、どの警察官もピリピリした様子で動き回
り、あちこちから声が飛び交っている。電話も鳴りっぱなしで、記者らしき連
中が何かネタはないかと辺りをちょろちょろしていた。
 連日マスコミは警察の無能ぶりを報道し、市民から警察への苦情があいつい
でると言われているから、警察官は精神的にもまいっていると聞く。探偵であ
る香藤への態度もつい冷たいものになってしまうのだろう。
「そのケルベロス事件の事だけど、何か分かったの?」
「だから、お前に付き合っている暇はないっていってるだろう。皆連日の捜査
で疲れきっているんだ。帰ってくれ」
「その事件の情報があるんだ。ちょっと聞いてくれないか?」
 香藤は他の警官に聞かれないように、小声でジェフに囁いた。
「本当か?」
「ああ、二人で話せるところないか?」
「…じゃあ、こっちで…」
 ジェフは辺りを見渡し、小さな会議室へ香藤を誘った。
「で、情報って?」
「被害者に共通点はないっていう事だったけど、ほんとに?マスコミには伏せ
ているだけじゃないの?」
「いや、本当に共通点はない。今朝発見された被害者も同じだ。強いて言えば、
比較的裕福な者だったってとこかな」
「このリスト見てくれる。被害者全員の名前が載っているんだ」
 ジェフは香藤の差し出した紙を覗き込んだ。
「…本当だ…今朝発見されたエルンスト氏の名前もあるな…これは何のリスト
だ?」
「ある秘密結社のメンバーのリストなんだ」
「秘密結社ってなんの?」
「それは今のところ教えられないんだ」
「何故だ?」
「ちょっと訳ありでね…だからジェフも秘密にしておいてくれないか?」
「おいおい」
「頼むよ…」
「…俺に何をさせたい?」
「頼みたいのは他のメンバーの安全の確認なんだ」
「……分かった。だが、今俺は他の事件も担当してるんだ。そっちに手がとら
れて手後れになったなんて事体は招きたく無いから、他の奴に頼むかもしれな
いぞ。秘密にはしておけない」
「そうか…分かった…実はその秘密結社というのは悪魔崇拝を目的としている
らしいんだ」
「なんだって?」
「だから、正面からいっても何も話してくれないと思うよ」
「…本当に悪魔崇拝なんてしてたのか?」
「俺の聞いた話ではそういう事だけど。なんで?」
「今朝、発見されたエルンスト氏の所持品の中にロザリオがあったぞ」
「十字架が?」
「ああ、それも純金の高価なやつ」
「う〜ん…世間の目を誤魔化す為かもよ」
「ありえるけどな…ま、調べてみるよ」
「4番目の犠牲者となった人はどんな人物だったんだ?」
「いたって普通の男さ。確かに上流階級に属してはいるけど、普通に大学に進
み、親の経営する会社に就職し、普通の結婚をした。今のところな。だが、悪
魔崇拝なんぞやっていたとしたら、叩けば埃がでてくるかもしれないな」
「遺体は人気のない森の中で発見されたんだろ?何してたんだろ?」
「それはまだ調査中だ」
「変わった特徴とかないの?」
「皆と同じさ。遺体は獣の牙で食い殺されたみたいにズタズタで、死因の一番
の原因は喉仏の骨を噛み砕かれた事による窒息死…あ、ひとつ違うのは銃を持っ
ていて何発か打った形跡があるという事だ」
「銃を?身を守ろうとして撃ったのかな?」
「多分な。襲われた時に発砲したものと見られている。つまり犯人は…人間か
どうか分からないが怪我をしている可能性がある」
「怪我……」
 香藤の脳裏に今朝、霧の中から現れたあの犬の姿が浮かんできた。足をひき
ずるように歩いていた小さな犬……
『俺は何考えてんだ…あんな小さな犬に人が殺せる訳ないじゃないか。血だっ
て出て無かったし…』
 そう否定した香藤だったが、胸に宿った不吉な予感は簡単に消えてくれなか
った。

 岩城は丁寧と評判の獣医の所に拾った犬を連れていった。優しそうな老医師
はレントゲンを撮って丁寧に診察してくれた。
「傷は古いもので、もう治りかけているよ。塗り薬だしておくから一日3回程
塗って下さい」
「ありがとうございます」
 岩城はほっと一安心して犬の頭を撫でた。柔らかな感触が心地良い。
「ただね〜」
 獣医が眉をよせて呟いた。
「何か気になる事でも?」
「この傷なんだが、どうも銃の弾が貫通した痕みたいなんだ」
「え?」
「最近ノラ犬が虐待されたりしてるから、その関係かもしれないね。君の犬?」
「いえ、今朝拾ったんです。怪我をしていたみたいだったから」
「首輪してないけど痕があるから多分どっかで飼われていたんだと思うよ。探
しているかもしれないから、保健所に届けをだしておいた方がいいんじゃない
かな」
「…そうですね…」
 飼い犬だったのか……
 岩城の胸が寂しさで少しばかりキュンとなった。今のアパートはペット禁止
だから飼えないと分かっていた筈なのに、心のどこかで飼うつもりになってい
た自分に初めて気が付く。
 岩城がアパートに着いた時は日が暮れかけてきていた。香藤はすでに戻って
きており、夕食の支度をしていた。
「おかえり〜岩城さん〜」
「ただいま」
「このチビの怪我どうだった?」
「怪我はかなり日数がたっていて、ほぼ治りかけているから心配ないって事だっ
た。あ、いつも作れせてすまないな、手伝おう」
「いや、もうできるとこだから、いいよ。かわりにテーブルのセッテングお願
い」
『今日以前に出来た傷か…じゃあ、やっぱりあの犬はケルベロス事件には関係
ないな』
 香藤は心の中で安堵した。
「分かった、手を洗ったらすぐにやるよ。チビにはドッグフードとトイレット
買ってきたから。ミルクはあったよな」
「へ〜」
 香藤はちょっと意味ありげな視線を岩城に向ける。
「な、なんだ」
「べっつに〜気がきくな〜と思って。なんだか飼うみたいだね〜」
「ばか、何も食べさせない訳にはいかないから買ってきたんだ。別に深い意味
はない」
「はいはい」
 岩城はテーブルのセッテングをすませると、皿にドッグフードとミルクを盛
り、犬にだしてやった。犬はおいしそうに食べ始め、その様子を見て岩城は目
を細めた。
「さ、岩城さん、冷めないうちに食べちゃおう」
「ああ」
 二人は食事をしながら、今日の出来事を話した。
「銃が貫通した痕?」
「ああ、チビの怪我は銃の弾が貫通してできたものだそうだ。それと、飼い犬
だった筈だと言うので、帰りに保健所に行って届けをだしてきた」
「そう…」
『銃でできた傷…これは偶然だろうか…でも日にちが合わないし…』
 香藤はせっかく安心したと思ったのに、また、胸の不安が宿るのを感じた。
「香藤?どうした?」
「ん、いやなんでも…でもひどい事する奴がいるね。チビみたいな小さな犬に
まで」
「まったくな…飼い主も心配しているだろうな…」
 岩城の瞳に寂しさの色が浮かんでいるのを香藤は見のがさなかった。すでに
あの犬に愛着をもち始めているのだろう。
「捨てられたって可能性もあるんじゃない?」
「かもな」
「ね、岩城さん。あのチビの飼い主が現れなかったら俺達で飼っちゃわない?」
「え…む、無理だ。このアパートはペット禁止だし…」
「でも、捨てる訳にもいかないでしょ。飼い主探すにしても、今新しく犬を飼
おうって人は少ないよ〜」
「そ、そうだが…」
「せめて、新しい飼い主が見つかるまでは飼ってあげようよ。ね」
「そ、それなら、仕方ない…」
「ふふ〜」
「なんだ、そのにやけた顔は」
「いや〜岩城さん可愛いな〜と思って」
「ば、ばか」
 二人は食事をすませるといっしょに後片付けをし、犬用トイレをバルコニー
に設置した。やはり飼い犬だったらしく、何も教えないのにやり方を知って
いた。寝床は洗濯かごに毛布をひいて作ってやり、リビングの隅に置いたが、
そこもすぐに自分のベッドだと理解したようで、さっそくもぐりこむとしっ
ぽをパタパタと振った。
「頭のいい犬だな」
「そうだね。人の言葉が分かるみたいだし、可愛いし、こんな犬がいたら癒
されるよね」
「本当だな…」
『俺をなごやかな気持ちにさせてくれる……』
 白い小さな犬は、のぞきこむ二人をつぶらな黒い瞳で見つめている。岩城
の手をペロリと舐めりと、眠そうにあくびをしたので、岩城はその身体をそっ
と撫でてやった。途端に犬は眠りの体勢になる。
「さ、岩城さん、俺達もそろそろ寝よ」
「ああ……」
 リビングの明かりを消し、二人はそれぞれの寝室のベッドにもぐりこんだ。
その日、二人と一匹は穏やかな眠りについた。
 が、翌朝、けたたましい呼び鈴のチャイムによって岩城と香藤は叩き起こ
された。
「もう〜何〜こんな朝早くから〜」
 香藤がベッドから這い出る時にちらりと時計を見ると、まだ朝の5時だった。
かるくガウンを羽織って玄関に向かう。
「どなたですか?」
 不機嫌な声でドア越しに声をかける。
「ロス市警の者です。昨日、拾われたという犬の事でお話があるのです」
「え?」
 香藤が覗き穴から確認すると、なんとそこにいたのはジェフと婦人警官だっ
た。急いでドアを開けると、ジェフが驚いた様子で香藤を見つめた。
「香藤?お前がなんでここに?」
「居候してるんだ、ところで犬の事でって?」
「とりあえず、入ってもいいか?犬もちょっと確認させてくれ」
「…分かった」
 香藤は疑問を感じながらもジェフを中に入れた。岩城も起きてきて何事か
と香藤を見つめていたので、香藤は『彼は大丈夫だから』と岩城に目で合図
を送る。納得した岩城は軽く頷いた。
 以前であれば、警官を部屋にいれるなどありえない事だった。いや、警官
だけでなく、何者であろうともだ。なぜなら、岩城の部屋の中は悪魔に侵入
されない為の結界があちこちにはりめぐらされていたからである。
 壁には聖水の入ったペットボトルにアルミホイル。魔よけの札にたくさんの
鏡に聖餅が床のあちこちに置いてあり、何も知らぬ者が部屋を見れば、きっと
頭のおかしい人が住んでいるに違い無いと思っただろう。
 だが、今は香藤がいるのでそんな結界を張る必要はなくなり、すべて取り払
った。
「犬はリビングのかごに…あれ?」
「どうした?」
「いないんだ…」
「なんだって?」
 バルコニーに目を向けると窓が開いている。夜中にトイレットに行きたくな
った時に行けるようにと鍵はかけていなかったのだ。岩城がバルコニーに出て
探したが、犬の姿はない。
「じゃあ、家の中のどこかにいるよ」
 香藤の言葉に、四人は家の中を捜しまわったが、犬の姿はどこにもなかった。
「一体どこにいったんだ?どこから外に出ていったんだ?」
 玄関のドアには鍵がかかっていたし、バルコニーは90cmぐらいの高さのコ
ンクリートで、ここはアパートの6階だ。香藤と岩城はキツネにつままれたよ
うな気分になった。
「本当に犬を拾ったのか?」
「拾いましたよ〜ジェフ〜」
「悪かった。じゃあこの写真見てくれ。犬はこの女性に抱かれているやつだっ
たか?」
 ジェフの差し出した写真を香藤と岩城は覗きこんだ。そこには可愛い20歳ぐ
らいの女性が白い犬を抱いている姿が映っている。
「うん、多分同じ犬だと思う。ね、岩城さん」
「ああ、おそらく…」
「でも、この犬が何か?」
「いっしょに映っている女性が行方不明なんだ。その犬はペガサスという名で
彼女がとても可愛がっていた犬だ。彼女がいなくなったと同時に犬もいなくなっ
たのでいっしょにいる可能性が高かったんだが」
「行方不明って…誘拐とか?」
「身代金などの要求がなかったんで自ら逃げたんじゃないかって予想していて、
詳しい捜査はしていなかった。だが、犬だけがいたっていう事は彼女の身に何
か起こった可能性がでてきたな。彼女はこの犬を溺愛していて、いつもいっしょ
にいたそうだから」
「自ら逃げる?なんで?」
「かなり資産家の娘さんだが、最近ご両親が事故で亡くなって、莫大な遺産が
彼女と兄に受け継がれる事になってたんだ」
「だからなんで逃げるの?」
「彼女の兄ってのが最低な男でな。酒はやる、ドラックはやる、暴力ざたで何
回も警察に捕まってる男なのさ。そこに両親の死だ。遺言で遺産は兄弟で分け
る事になっているから、妹が死ねば兄は遺産をひとりじめできる。だから危険
を感じた彼女は逃げたんじゃないかと。そうみてたんだが…」
「じゃあ、その兄が怪しいんじゃないの?」
「俺達もまっ先に疑ったさ。しかし、彼女がいなくなった時、奴には友人といっ
しょだったというアリバイがあったんだ…でも…」
 ジェフは言いにくそうに口ごもる。
「どうしたジェフ、話してくれよ。何か協力できるかもしれないだろ」
「…そうだな、あのリスト持ってきてくれたのお前だし…実はいっしょにいた
と証言している友人はお前が持ってきたリストに載っていた人物なんだ」
「なんだって?あの秘密結社のか?」
「そうだ…昨日遺体で発見されたエルンスト氏もいた…」
「……………」
 これは、なんの偶然だろう…
 香藤は不安をつのらせ岩城を振り返った。岩城も不吉な予感を感じているらし
く、不安な色をその瞳に宿していた。

   

メデューサ
ゴルゴン三姉妹のうちの一人。見た者を石に変える魔物で、頭髪は無数の
毒蛇、青銅の手と黄金の翼を持った容貌をしている。姉のエウリュアレー
とステンノーは不死であったが、メデューサは可死であった為、勇者ペル
セウスに首を切られて倒される。
首を切られた時に天馬ペガサスが産まれ、ペルセウスが手を洗う時に海藻
の上にメデューサの首を置いた事から珊瑚が生じたと言われている。これ
には他にも説があり、ペルセウスが海を渡る時に滴り落ちた血から珊瑚が
生じたというものや、砂漠に落ちたメデューサの血からサソリなどの猛毒
の生き物が誕生したというものもある。

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