この話は桃が「監禁される」というコンセプトを元に書いております
(だったならば=タラレバ話。タラのレバーではありません←刺;)
実際には「絶対しないだろう」と思っていますが「あえて」「無理矢理」考えてみました;
痛い話なので駄目だと思われる方は読まないで下さい。お願いします;


監禁(タラレバ)

豪毅の場合


「豪毅、そろそろ外に出ていいか?」
「駄目だ」
豪毅の否を言わせぬ返事に桃は心の中で軽くため息をついた。
この南国にあるという豪毅の別荘に連れてこられて今日で二週間になる。
豪華な別荘で清潔で居心地も良い。中庭にはプールもあり、使用人達がきめ細かく世話して
くれるので何一つ不自由した事はない。が、家の外には一歩も出れなかった。
別荘は高い塀に囲まれ、桃は見れないがボディガードが、何人も外塀をぐるりと取り囲んで
見張っているらしい。
エントランスやリビングルームには監視カメラまでついている。
正直、桃は息苦しさを感じ始めていた。
それでも、無理矢理出て行くのを踏み留まっているのは、自分の身を案じている豪毅の気持
ちを考えたからである。
一ヶ月程前から、桃の関係者の何人かが殺害された。
その直後に豪毅が現れ、これは桃の命を狙っている某マフィアの仕業である、と教えてくれ
たのだ。
ほとぼりが冷めるまで身を隠して、後は自分にまかせて欲しい
そう言って豪毅は半ば強引に桃をこの別荘に連れてきたのである。
南半球にある島のどこからしいが、それすらも、桃は知らなかった。此処には新聞も電話も
なく、テレビはあるが、受信出来るチャンネルは制限されていて、映し出されるのは映画や
景観の映像ばかりで、ニュース番組などの情報チャンネルは流れなかった。まったく外界か
ら隔離された状態である。
豪毅には悪いが、桃は無理にでもここを出て行く決心をしていた。

翌朝。母屋にいた豪毅は使用人から連絡を受け、急いで離れにある別荘に駆け付けた。
中庭のちょうど門に通じる道のまん中で、桃と使用人が押し門答している。
「どうした?」
「あ、豪毅様、剣様がここを出て行くとおっしゃるのです。いくらお止めしても聞いて下さ
らないのです」
「……剣……」
「豪毅、お前が俺の事を心配してくれているのは分かっている、ありがたいとも思っている。
けれど、いつまでもこんな状態なのは嫌だ」
「……………」
「お前は何も話してくれない。俺の命を狙っているマフィアの事も、外で何が起きているの
かも、また誰か殺されていないのかも。豪毅を信用していない訳じゃないが、俺は自分の目
で確かめ、自分の力で立ち向かいたいんだ」
「……………」
「俺は出て行くよ。すまない」
桃は向かいに立っていた豪毅の横を通り過ぎ、真直ぐに門に歩を進める。その時、豪毅は桃
の手を軽く掴んだ。
チクッという感触を覚えた桃は、豪毅を振り返った。
信じられない、といった表情で豪毅を見つめたが、次の瞬間気を失って静かに地面に倒れ付
した。
豪毅は速効性の睡眠薬を仕込んだ針を、忌々しそうにしまってボディガードを呼んだ。
桃を寝室のベッドに運ぶように命じる。
ボディガードが寝室を出て行った後、豪毅は桃の眠るベッドに腰をおろした。
いつまで、こんな状態を続けるつもりなのか…
豪毅は自分でも分からなかった。
けれど、桃を絶対に外に出したくなかった。
桃をこの別荘に連れてきてから、豪毅は桃の替え玉を用意した。
顔はもとより、背格好もそっくりな桃の影武者を囮にして、マフィアの奴らをかく乱させよ
うとしたのだが、その影武者はあっけなく殺されてしまったのである。
あれ程警備に万全を期してていたのに…
ガードに隙はないと自負していたが、奴らは包囲網をくぐり抜け、桃の暗殺に成功した。
マシンガンに狙い撃ちされ、穴だらけになった身体が血潮の中に転がっていた光景を豪毅は
忘れる事が出来ない。
桃にそっくりな顔が死の洗礼を受けている。
その時の恐怖を思い出して豪毅はぞっとした。
足下が崩れ落ち、真っ暗で巨大な穴に落ちていくようなあの感覚。
思い出しただけで震えがくる。
不安に襲われた豪毅は、ベッドで眠る桃の顔を覗きこんだ。
目を閉じている桃の白い顔。
血潮の海に横たわっていたそれと重なり、豪毅は桃のシャツを開いた。
その身体にはたくさんの傷痕はあったが、血を溢れ出させる無数の空洞はない。
豪毅は確かめるように、桃の肌に手を滑らせる。
なめらかな感触が指に伝わってきて、豪毅は胸が高鳴ってくるのを感じた。
「…う……」
桃の微かな声が届き、豪毅は頬に触れてみる。
薄く開いた唇に目が止まり、豪毅は無意識に口付けていた。
「…ん……」
吐息が唇をかすめ、豪毅は誘われるままに口付けを深くする。濡れた舌をからみ合わせ、
零れる熱い息さえも奪う。
「…ん…うん……」
唇を離して見下ろすと、桃は意識を取り戻していた。
頬を少し朱色に染め、潤んだ瞳で豪毅を見つめている。
「……豪…毅……?」
濡れた唇が自分の名前を囁いた時、豪毅は自分の中の何かが壊れる音を聞いた。

追加




伊達の場合

「…伊達……」
「ん……?」
「今、何時だ…?」
「さあな…関係ねーだろ…」
「ここは時計もないし、窓もないから今が朝か夜か分からないんだ…」
「知る必要はねー」
「…こんな地下にある部屋なんて…どこで見つけてきたんだ?」
「……………」
「ここに連れてこられてから、どれぐらい経ったのかも分からない……」
「……………」
「…いつまで、ここにいればいい?」
「さあな……」
「死ぬまでか?」
「やめろ」
「…伊達…言っておきたい事があるんだ…」
「聞きたくねー」
「……でも…俺が死ぬのは変えられない……」
「やめろっつてんだろ…」
「医者の話では、あと一ヶ月足らず……」
「黙れ!その口塞ぐぞ!」
「…ん……んん……」
「後ろを向け」
「伊達…待っ……あ……!」
「もう濡れてきたのか?早いな…さっきまで、やってたから仕方ないか」
「……やめ……」
「身体はそうは思ってないみてーだ。ビクビクしてる」
「……う……あ……伊達…お前に……」
「うるせー……」
「…い……!」
「痛かったか…?余計な事喋らねーなら止めてやる…」
「……伊達…怒ってるのか……?」
「……………」
「…俺が悪いのか……?」
「…そうだ、お前が悪い…でなきゃ、誰に怒りをぶつければいいんだ?」
「…勝手…だな……」
「ああ、俺は勝手な男だ……」
「……そんなお前が好きだ……」
「……………」
「愛しく想ってる……だから、お前は生きて……」
「黙れと言ったろ!」
「…あ…!」
「いつも…やらしい身体だな…」
「…あ…あ……」
「ここに来てから、どれほどか分からないぐらいやったのにな…」
「……頼む……」
「お前の言う事を聞く気はない。だから言っても無駄だ」
「……約……束……」
「一人でいくなんて許さねー…お前が最期に見るのが俺以外なのも許さねー」
「……伊…達……」
「………桃………お前を殺したい……」
……いっその事……
そうすれば、少しは楽になるのだろうか?
とっくに自分は狂っているのだろう、と伊達は思う。
口付けると桃の唇から温かさが伝わってくる。
この身体が冷たくなってしまう事など、伊達は想像出来なかった。したくなかった。
すべてで拒否していた。
伊達は桃のいない自分の人生とやらに、一欠片の価値も見いだせない。
おそらく自分は死ぬのだろう。
死ぬとは、心臓が止まるとか、脳波が途切れる、とかいった類いのものではなく。
心が死ぬ。
桃の身体からこの温かさが消えた時、自分の命の意味が消えてしまう時なのだと、
伊達は知っていた。





H21.9.16

壊れているのは私の頭か…;神様仏様すみません〜悪魔の誘惑に負けてしまいました〜;
ま、まさか伊達×桃以外のカップリングとして豪毅×桃を書くなんて…;桃×伊達より
先に書くなんて…;
S豪毅を思いついた時の萌は錯覚じゃなかったか〜!予想GAY!(殴;)私、頭悪いか
らな…
本当は伊達も豪毅も桃を監禁なんてしないと思います;二人とも強いし、桃を大切に思
っていると思うので。なので、そこを曲げて「監禁する」を前提としてこういう理由な
らばあるいは…で考えてみました;やっぱり、しないと思うけどね;
「当サイトのカップリング検証」でも書きましたが、私シュチュエーションおもいつい
ても、書く段階で違和感覚えて書けないんですよ;このページはとにかく「シュチュエ
ーション通りに書く」を頑張って押し通してみました;(結果はどうか、なんて言わな
いで〜!)
「伊達の場合」は会話だけの話って一度書いてみたかったんで、挑戦してみました;
(なんか、エロティック塾、というより「実験ページ」になってきたな〜;)
昔、小説を雑誌に投稿した事あるんですが(別に作家になりたい、とかじゃなくて自分
の短所、長所が知りたかった;自分でも分析してたけど、的はずれな事言ってたら恥ず
かしいし;プロの寸評なら確かだし容赦ないだろう、と思って;)
「私って結構「設定だけ」だよね」という自己分析はあながち間違いじゃなかった…
という事が分かりました。
こういうの書いてると、それがよく分かるな〜;はははのは…;
(投稿の過程、結果は「BLオリジナル茶屋」に載せてます;)